未練 波打って
「危険なプロット(原題:Dans la maison)」を観ました。フランス映画です。昨春に「愛、アムール」を観てからというもの、すっかりフランス映画の虜になってしまいました。ストーリーは、国語教師と男子生徒による作文をめぐる奇妙な関係を主体としながら、現実と空想が複雑に入り交じりつつ展開されていきます。公式サイトによれば“知的サスペンス”らしいですが、ジャンル分けの難しい映画だと思います。とにかく、始終ハラハラさせられました。他人の生活を盗み見ているのがばれて咎められたらどうしようという緊張と、自らの生活が破綻していくのをじわじわと迎える緊張。全編を通してシリアスな雰囲気なんだけれど、たまにクスッと笑える要素もあってよかったです。
それにしても、クロード役のエルンスト・ウンハウアーが凄まじい色気を放っていて衝撃でした。ときどき口の端だけでニコリともニヤリともつかない笑顔を作るのも妖艶で、どこか危うさのある神秘性を持っています。終盤のシーンで、ベッドに横たわって女性の隣で微笑む顔もすごかった。一見の価値ありです。
それにしても、クロード役のエルンスト・ウンハウアーが凄まじい色気を放っていて衝撃でした。ときどき口の端だけでニコリともニヤリともつかない笑顔を作るのも妖艶で、どこか危うさのある神秘性を持っています。終盤のシーンで、ベッドに横たわって女性の隣で微笑む顔もすごかった。一見の価値ありです。
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ずっと繰り返して居たい
「タイピスト!」という映画を観ました。フレンチラブコメディという感じのストーリーで、テンポがよく大変おもしろかったです。ご都合主義・予定調和と言われればそれまでですが、恋も大会もこれぐらいトントン拍子で進んだほうが私は気持ちいい。ストーリーだけでなく、50年代をイメージしてつくられた舞台や衣装すべてがポップでキュート。そしてなにより、主人公のローズがいじらしいほどかわいい! やわらかそうな身体、はにかむような笑顔、ドジっこだけどフランス女性らしい芯の強さもあってすっかり虜になりました。監督が望んでいたとおり、まさに現代のオードリー・ヘップバーンです。ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」を好きな方はきっとこの映画も好きだと思います。「マリー・アントワネット」はこれから観るけど、私もその一人です。
月の所為よ!
スタジオジブリの最新作である、「かぐや姫の物語」を観てまいりました。
ストーリーの大筋は原作である竹取物語におなじで、原作で語られていないような細かい感情の描写のほか、オリジナルキャラクターによるさまざまな人間模様などがあたらしく描かれていた、という印象です。かぐや姫は天真爛漫ながらもどこか大人びた少女に成長し、ちいさなことに傷付いては人間らしい悩みを抱えて生きていく。映画のポスターにおけるキャッチコピーは「姫の犯した罪と罰。」というものでしたが、物語の性質上か、いちばん知りたいはずの「罪と罰」がぼやけている印象を受けました。ストーリーも間延びしてしまっているような……。それから、あまりに人間味あふれる性格をもつ登場人物たちに対してすこし疲れます。かぐや姫は情緒不安定すぎるし、竹取の翁はいかにも押しつけがましい父親でした。うーん、全体の雰囲気や作画がよかっただけにそれを生かし切れていないのがもったいない。期待値が高すぎたのかもしれません。
ストーリーの大筋は原作である竹取物語におなじで、原作で語られていないような細かい感情の描写のほか、オリジナルキャラクターによるさまざまな人間模様などがあたらしく描かれていた、という印象です。かぐや姫は天真爛漫ながらもどこか大人びた少女に成長し、ちいさなことに傷付いては人間らしい悩みを抱えて生きていく。映画のポスターにおけるキャッチコピーは「姫の犯した罪と罰。」というものでしたが、物語の性質上か、いちばん知りたいはずの「罪と罰」がぼやけている印象を受けました。ストーリーも間延びしてしまっているような……。それから、あまりに人間味あふれる性格をもつ登場人物たちに対してすこし疲れます。かぐや姫は情緒不安定すぎるし、竹取の翁はいかにも押しつけがましい父親でした。うーん、全体の雰囲気や作画がよかっただけにそれを生かし切れていないのがもったいない。期待値が高すぎたのかもしれません。
土曜日なんて来る訳ない
14日公開の映画「華麗なるギャツビー(原題:The Great Gatsby)」を観て参りました。
ストーリーは原作におおよそ忠実。演出の面で言えばたいへん賑やかで、同じく社交界とラブロマンスを描いたこの間の「アンナ・カレーニナ」とはまた異なった豪華絢爛さでありました。舞台となった国や年代が違うだけでなく、原作の趣きがまったく異質なのでそれは当たり前かもしれません。でもこちらの豪華さと言えばものすごくて、作中すべてのジュエリーをティファニーが、ドレスをプラダおよびミュウミュウが、それぞれオリジナルで製作しているだけあり目を見張る出来となっております。そしてJ.ギャツビーを演じるレオナルド・ディカプリオの演技のすばらしさ。容姿の面でギャツビーに相応しい俳優はたくさんいるかもしれませんが、やっぱりディカプリオってすごい!と思わせる演技力には感心するばかりでした。
ストーリーは原作におおよそ忠実。演出の面で言えばたいへん賑やかで、同じく社交界とラブロマンスを描いたこの間の「アンナ・カレーニナ」とはまた異なった豪華絢爛さでありました。舞台となった国や年代が違うだけでなく、原作の趣きがまったく異質なのでそれは当たり前かもしれません。でもこちらの豪華さと言えばものすごくて、作中すべてのジュエリーをティファニーが、ドレスをプラダおよびミュウミュウが、それぞれオリジナルで製作しているだけあり目を見張る出来となっております。そしてJ.ギャツビーを演じるレオナルド・ディカプリオの演技のすばらしさ。容姿の面でギャツビーに相応しい俳優はたくさんいるかもしれませんが、やっぱりディカプリオってすごい!と思わせる演技力には感心するばかりでした。
Who were we?
映画館にて、レオス・カラックス監督の「ホーリー・モーターズ」を観てまいりました。監督にとってはじつに13年ぶりの長編映画ということですが、残念ながら私は他の作品を存じませんので、当映画の紹介における「この監督にしか撮ることのできない映像」などの言葉の真意はわかりません。しかし、これは他の映画では味わえないストーリーと映像表現であるということは理解できます。まるで夢を見ているように目まぐるしく、ときにウットリし、ときにハラハラする展開の数々。登場人物の素顔や関係性はまるで靄のなかです。こういう不思議な映画は嫌いじゃありません。