仕合わせになりたい
津村節子の「紅梅」を読み終えました。文庫版です。これは単行本として発売されていたときにも本屋で見かけており、装丁が良いので買おうと思っていた本でした。文庫版も同じく、装画は丸山応挙の「老梅図」です。
「紅梅」は、著者の夫であり作家の吉村昭氏の癌治療および闘病、そして死を迎えるまでの日々を書いたものです。文体としては日記に近いのですが、そこに明確な日付はなく、また数十年前から数日前までの出来事がさまざまに思い起こされときに交差することも屡々で、この作品はそれ故にただの日記や闘病記の枠に収まりません。そして、私の好きな「斜陽日記」をどことなく思い出させるのは、一人称が名前であるためだけではないように思えます。肌に合っているのか、すらすらと読み進んでしまう作品でした。
拍手ありがとうございます。これを励みに、そろそろ更新したいと思っております。
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