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果てることない夢

安部公房の「箱男」を読み終えました。新潮文庫。今まで読みにくそうで避けていた作家ですが、この頃は小説のジャンルを問わず読んでいたせいか、この作品のつくりのせいか、すんなりと読むことができました。語り口は一人称で、くだけた調子です。実験的な構造をとっており、視点の入れ替わりだけでなく、まったく関係ないような場面まで語られます。また、ふいに挟まれる、安部公房自身によるモノクロ写真および物語と繋がりのありそうな文章。終わりかたも想像していたものとは違いました。夢か幻を見させられていたような読後感です。

恋人が安部公房を、いちばん好きな作家にあげているので部屋には氏の著作が多くあります。しかし、いちど集めた全集は売却してしまいました。また集めればよい、とのことですが私は寂しい。
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