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夢も現実も目を閉じれば同じ

ハヤカワ文庫の「ゼロ年代SF傑作選」を読了。いつものことですがハヤカワ文庫はブックカバーに入らない。

SFにはほとんどまったく興味がわかないため、自分から手に取るというのはめずらしいことです。私にとってはじめてのSFは伊藤計劃の「虐殺器官」でした。今回もそうですが恋人の本が自室にありなんとなく読み始めたという具合です。円城塔の「Self-Reference ENGINE」は読みづらくて断念、共著となっている「屍者の帝国」は伊藤計劃の書いた導入部分のみ読みました。そして今回のこの傑作選に収録されているのはその二人とほぼ年代を共にする作家8名による短編です。初出は作品ごとに異なるものの、“ゼロ年代”と銘打つからにはそれ以前の作品などなくすべて2002~2008年ごろ。本書の解説によるところの、SF復興そして豊穣なる実りを迎えた時期であるらしい。普段あまり触れることのないような実験的作品が多く、楽しめました。ほとんどすべての作品が、その著者のべつな作品のスピンオフとでもいうべき短編でしたが本編を知らずともその世界に入っていけると思います。短編だからこそ、SF特有の設定疲れがなかったのかもしれません。
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