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君が溶けていくよ静寂に

4月14日、集英社文庫の「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」を読了。以前も書きましたが、大好きな中村佑介氏のイラストが表紙を飾っており、それにつられて購入したものです。短編集であり、ひとつ目の「少年」だけは買ってしばらくしたのちに読んだらしい。どれも興味深い作品ばかりですがとりわけ「麒麟」と「魔術師」が好みでした。「麒麟」のような古代中国を題にとった作品は私にはなじみが薄く、それがかえって面白い。しばらくこういった話ばかり読みたいけれどそう都合よくあるのでしょうか。探そうにもその方法がわかりません。巻末にある、みうらじゅん氏の鑑賞もよかったです。


4月17日、綿矢りさの「かわいそうだね?」を読了。表題作のほかに「亜美ちゃんは美人」という作品も収録されており、私はこちらのほうが好みでした。表題作に比べるとすべての状況や感情が現実に対して素直であり、理解と感情移入がしやすい印象。並んだ文字からも亜美ちゃんのうつくしさとはかなさが伝わってきて、ストーリー展開には関係なく、ずっと心地よかったです。ただやはり、さかきちゃんといっしょで心のどこかには嫉妬や羨ましさがあって、亜美ちゃんが不幸になることを望んでいるのかもしれません。最後までおもしろかったです。氏の作品は「インストール」と「蹴りたい背中」以来でした。その当時からしばらくは金原ひとみ氏のほうが好きで読んでいたため、ほんとうに久しぶりに綿矢氏の作品を読んで実力の高さにおどろきました。ほかのも読んでみようと思います。

書店で文庫本を購入したのはいつ以来でしょうか。通勤に電車をつかうようになってから今までにないスピードで読書がはかどってしまう上に、恋人から本を借りることができないため、読むべき本が手元にない状態です。しかし書店や図書館で選ぼうとすると読みたい本が思いつかないので困ります。目的もなく並んだ本を眺めるしかありません。また、自分が所有することを考えると表紙のデザインが気になってしまい、なかなか購入に至らないのです。なんとかしなければ。
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