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海、かたちのない、単純に比類のない海。

マルグリット・デュラスの「愛人(原題:L'AMANT)」を読了。河出文庫(清水徹=訳)のものです。外国文学はその翻訳のせいで読みづらくてとても苦手なのですが、これは訳者のためかそれともデュラス自身のためか、ずばぬけて読みやすい翻訳でした。私の身体にすんなりと入ってきて驚いたほどです。時制も人称もないまぜに展開されるまるで夢や幻のような情景が、表紙にほほえむ少女時代のデュラスを呼び起こして鮮やか。この作品は告白を主題とした私小説とも、またまったくそうでもないとも言えます。好き嫌いの分かれそうな内容および文体ではありますが、私は好きです。
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どうかしてるわたし

角川文庫のスペシャルカバーが気になっています。「かまわぬ」とのコラボレーションしたカバーも大変かわいらしいのですが、個人的に好きなデザイナー・寄藤文平氏による「文平銀座」のデザインした「大人の名作カバー」がものすごく良い! 書店で見てすぐに胸を打たれました。しかし読みたいタイトルがなくて困っております……。大人の名作だけあってどれも小難しそう。うーん。

近頃はなんでもそうなんですが、とにかく思考を必要としない、いわゆる“頭をからっぽにして楽しめる”タイプのものに選択が偏りがちです。小説もそう、映画もそう、テレビゲームもそう。難解であったり壮大であったりするそれらを読んでいる(または観ている、プレイしている)自分を想像しただけで疲労を覚えるようになってしまい、楽なほうへ楽なほうへと自ら流れるようになりました。この先には退化しか待っていないような気がします。うーん。

I wanna be free.

ここにきてようやく読書に対する欲求が顔を出してきました。今はこれを逃すまいとて躍起になっております。とくに文庫本を欲していて、休憩時間を利用してぽつぽつと読み進めているところです。タータンチェック柄の素朴な文庫本カバーを購入し、気分も新たに読書に励んでいます。こんなことをしなくても読書量が増えるとよいのですが、残念ながらそうもいかず、まったくお恥ずかしい話です。また、出版社の文庫本フェアも例年通りにぎやかで、書店のいちばんいい場所に文庫本が平積みされているため、めずらしく数冊ほど購入しました。やはり読みたいものを読まなければいけませんね。後日、自分用に感想を記しておきたいと思います。

何時も成長をしたいよ

更新しました。「かきのたね」に、twitterでつぶやいたものの中から7首を追加しました。とりあえず7月まで。タイムライン上にいらっしゃる他の方々に比べればまったくと言ってよいほど詠んでいないために、毎日、焦ったり胃が痛くなったりしております。すばらしい短歌を見つけては無力さを感じることも多く、そんな自分に驚き呆れるばかりです。競争ではないのに、勝ち負けではないのに、自らをそうやって評価してしまう自分が悲しい。

仕合わせになりたい

津村節子の「紅梅」を読み終えました。文庫版です。これは単行本として発売されていたときにも本屋で見かけており、装丁が良いので買おうと思っていた本でした。文庫版も同じく、装画は丸山応挙の「老梅図」です。


「紅梅」は、著者の夫であり作家の吉村昭氏の癌治療および闘病、そして死を迎えるまでの日々を書いたものです。文体としては日記に近いのですが、そこに明確な日付はなく、また数十年前から数日前までの出来事がさまざまに思い起こされときに交差することも屡々で、この作品はそれ故にただの日記や闘病記の枠に収まりません。そして、私の好きな「斜陽日記」をどことなく思い出させるのは、一人称が名前であるためだけではないように思えます。肌に合っているのか、すらすらと読み進んでしまう作品でした。


拍手ありがとうございます。これを励みに、そろそろ更新したいと思っております。