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今日は帰らない

有川浩の「塩の街」を読了。実家に帰省していたおり、母親のものらしき本がいくつかあったので暇つぶしに手に取ったところ、すっかり夢中になってしまい数時間で読み終えてしまったのでした。作者もあとがきで、大人向けのライトノベルを目指したと書いていますが、まさにそんな印象です。ストーリーもおもしろいですが、キャラクターがそれぞれに魅力的でした。登場する人々がみんな善人だったのも気持ちよかった。そういうほうが読んでいてストレスになりません。

実家のほうは例年並みに積雪がありましたが、普段はまともに雪の積もらない地域で過ごしているうえ、今年は暖かいためかとくに雪がすくないので、帰省しておどろきました。飼っている猫は雪のうえを駆け回り、犬は寒そうに眠そうにしていて、なんとも不思議な我が家です。
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謹賀新年

あけましておめでとうございます。本年も、webサイト「柿」を管理人ともどもよろしくお願い申し上げます。

2013年における「柿」は、近年まれに見るような高い更新頻度でもって作品を発表していたと自負しております。今年も、せめて同じくらいのスピードで活動していきたいと思っておりますゆえ、どうかお付き合いくださいませ。昨年の夏ごろにひっそりと始めたtwitterの調子もすこぶるよいです。ゆるーくつながっている感覚がおもしろくて、ひっそりとですが息をしています。私なりの速度で動いているちいさな世界を、あたたかく見守っていただけると幸いです。

サヨナラが心にあふれてしまう

小川洋子の「妊娠カレンダー」を読了。文春文庫。表題作のほか、「ドミトリイ」と「夕暮れの給食室と雨のプール」が収録されています。「妊娠カレンダー」はタイトルから受ける衝撃をそのままに、いっそそれよりも鮮烈な印象をもたらす作品で、読んでいるうちに身体の内側が冷えてゆく感覚を味わうことができ、読了までどきどきしっぱなしでした。とても心地よいどきどきです。ほか二作品はそれぞれどことなく共通する雰囲気をまとっている上、どちらにもうっすらとしたやわらかい恐怖をおぼえさせられました。この三篇の組み合わせは最良かもしれません。松村栄子による解説も、冷静な観点からなる真摯なもので共感できる点が多くありました。

高校生のときに読んだ「博士の愛した数式」以降、氏の作品を読みたいと思いつつも今までなぜか読まずにきてしまったことに驚いています。「博士の~」では、読んでいるさなかに切なくて泣いてしまった、とこのブログに記してありました。然しながら、いまもむかしも、私は「博士の~」タイプよりは今回のような作風のほうが好みです。

狂いそうで美しい君達

ロード・ダンセイニの「時と神々の物語」を読了。河出文庫。架空の神話による「ペガーナの神々」と「時と神々」を始めとして、「三半球物語」および短篇が収録されています。これはある意味でSFかもしれません。現実には存在しないはずの神々は個性にあふれ、それぞれの役割を持ち、人間を戒め翻弄する様子がおもしろい。ほんとうにペガーナという地や世界のどこかにいるのではないかと疑いさえ憶えます。私も死を迎えるときは、ムングに遭いその印が結ばれるのを見るのかもしれない。

また架空の大地や都市についての描写が緻密で、まるでダンセイニ卿が、実際に目にしたかのようであるのがおもしろい。「われわれの知る野原の彼方」とそれに続く3話からなる物語はとくに目を見張るようにうつくしい情景をたたえており、それらをひときわ魅力的にしているのは、作中の語彙の豊かさや表現のきめ細やかさであると感じます。ダンセイニ作品のファンであるという中野善夫、以下4人による翻訳もすばらしい。原書にも収められていたというシドニー・S・シームの挿絵も、神々の不可思議で愛嬌のある姿を描いていて好きです。表紙になっているもの以外はモノクロなのが残念。しかし幅広い作家に影響を与えたというだけあり、まさにどこを取っても良書です。

でも少し未来が見たいの

あたらしい眼鏡を購入しました。もともと、その日の気分や服装によって2本の眼鏡を使い分けていたため、新調ではなく単にその選択肢が増えたという感じです。今回のフレームは、「トレミー48」というブランドのものにしました。個性的で目を引くデザインでありながら、軽くて柔らかくてストレスが少ないという、めずらしい一品。周りの人からも好評です。