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me olvide de toto

芥川龍之介の「侏儒の言葉」を読了。文春文庫です。表紙がかわいらしいのも手に取った理由のひとつではあります。前書きから目次までは原稿用紙ふうに、本文はすべて手書きふうに、それぞれ縁取られているのも大変好い。内容それ自体もなかなか真に迫ることが書いてあり、作家ではない“芥川龍之介”というひとりの人間を強く意識させられました。作家という職業について他人や自己を交えて書いていることも本文中には多いので、簡単には切り離すことのできないのですけれど、しばしば人生論もあるからやはりただ有名作家が書いたエッセイとは言い難い。自己啓発にも似ています。


しかし、著者の見識の深さには改めて驚きました。こんなにも古今東西の書物を吸収して放出できる人とは知らなかったです。これが天才たる所以か。また、私が現在読んでいる夏目漱石と時代を同じくするせいか、小説と随筆の違いこそあれどいくつか共通の事柄が出てくるのは大変に興味深いことです。当時らしい言い回しや風俗・事件など、とくに例をあげれば「タカジアスターゼ」もそうです。こういった気付きが読書をたのしくさせますね。それはともかく、読むと頭が冴える良い本ですのでオススメです。
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