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me olvide de toto

芥川龍之介の「侏儒の言葉」を読了。文春文庫です。表紙がかわいらしいのも手に取った理由のひとつではあります。前書きから目次までは原稿用紙ふうに、本文はすべて手書きふうに、それぞれ縁取られているのも大変好い。内容それ自体もなかなか真に迫ることが書いてあり、作家ではない“芥川龍之介”というひとりの人間を強く意識させられました。作家という職業について他人や自己を交えて書いていることも本文中には多いので、簡単には切り離すことのできないのですけれど、しばしば人生論もあるからやはりただ有名作家が書いたエッセイとは言い難い。自己啓発にも似ています。


しかし、著者の見識の深さには改めて驚きました。こんなにも古今東西の書物を吸収して放出できる人とは知らなかったです。これが天才たる所以か。また、私が現在読んでいる夏目漱石と時代を同じくするせいか、小説と随筆の違いこそあれどいくつか共通の事柄が出てくるのは大変に興味深いことです。当時らしい言い回しや風俗・事件など、とくに例をあげれば「タカジアスターゼ」もそうです。こういった気付きが読書をたのしくさせますね。それはともかく、読むと頭が冴える良い本ですのでオススメです。
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どんな君でもアイシテイル

近頃はほとんど家と会社の往復しかしておりませんし、空き時間は試験のためにテキストとにらめっこをするくらいで、このブログに書くようなネタがありません。仕事と睡眠と食事が大半を占めている状態は人間らしい生活と言えばそうですけど、然して面白味には欠けます。未来の安寧のために現在しなければならない我慢は大きい。でもそれをする価値は大いにあります。

梅の散る午後にもちゃんと二人は

販売業に従事しているせいでカレンダー通りにもお盆や年末年始にも仕事を休めないけれど、今年は昨日・今日とお休みをいただくことができました。おかげでお墓参りやバーベキューも楽しめたし、数年ぶりに従姉弟たちと会うこともできた。なんてすばらしい日なんだろう! どちらかと言えば帰属意識が強いほうなので、こうして家族や親戚といられるのはうれしいです。人見知りがひどく話ベタだから積極的に話をすることはできないし、家族でもボディタッチはしたくないほど潔癖症らしいところのある私でも楽しく過ごすことができます。それだけで十分。

たまには感じたことでもと思い、些末なことですが記してみました。文章を書くリハビリになればいいけれど。

違うと感じてた

先月に柳田國男の「遠野物語」(集英社文庫)を読んでからというもの、今春からつづく読書熱がいっそう高まってしまい、文庫本を数冊まとめ買いするなどしています。夏の文庫フェアによって書店の一角には文庫本コーナーが設けられているため、平時よりお目当てのタイトルを探しやすく手に取りやすいというのも一つの要因かもしれません。まとめ買いしたのは、穂村弘「短歌ください」(角川文庫)と、京極夏彦・柳田國男「遠野物語remix 付・遠野物語」(角川ソフィア文庫)と、遠藤周作「海と毒薬」(新潮文庫 ※プレミアムカバー)と、芥川龍之介「侏儒の言葉」(文春文庫)の4冊です。そのあとすぐ夏目漱石「吾輩は猫である」(新潮文庫)も買いました。

どの作品も、数か月前の私が読みたいと思っていなかったものばかりです。とくに「遠野物語」と「海と毒薬」に関しては、何度も読む機会はあったのにまっったく興味がなかった。でもいま現在の私は読みたいと思ってこれらを選択しているし読めばこんなにも面白い。この現象は不思議なことですし、それと同時にどんどん変わっていく自分の感覚が信じられなくなります。せまい範囲ではあるけれど趣味嗜好や意識が流動的すぎて、さまざまな事柄に対する自分の態度もコロコロ変わっていきます。半年後の自分はどうなっているのかさえ予測不可能です。

ほんのつい先考えて居たことが

生活における趣味の割合が低くなっており、春頃からほとんどまったく短歌を詠んでいませんでした。思い出したように2首ほどtwitterに投稿したくらいです。ある程度の頻度でつねに触れていなければ短歌を詠むことってむずかしいので、これをスランプというのもおこがましい話ですが、この頃はひとつも面白くない歌しか詠めなくて自分にがっかりしております。「短歌ください」の文庫版を読んだところ、わずかにモチベーションが回復したのを感じました。しかし同時に、自分の才能の無さに落ち込んだのでしばらくはまた大人しくしている予定です。

私じゃなくてもいいだろう、もっとすごい人に任せておこう、という諦めをさまざまな場面で何度も味わう人生です。というか単純に、私には悔しさやプライドというものが欠落しているのだと感じます。